エビデンスは、IT以外の分野でも用いられることのある言葉。
エビデンスとは、根拠や証拠を意味する言葉です。その意味どおり、証拠を求められる場面で「エビデンスは?」という使われるのですが、特にIT分野では、エビデンスという言葉がどんな使われ方をするのか、調べてみることにしましょう。
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目次
エビデンスが指すもの
エビデンスは、前述したように「証拠」を意味します。
IT分野におけるエビデンスは、会議での議事録、メールのやり取り記録、単体テストでのシステム稼働記録などを指す場合が多いです。後々のトラブルを防ぐために、「証拠」を残しておくのです。後々問題になっても、自分の残した実績のエビデンスがあれば、大きな問題になる前に沈静化できるでしょう。
システム開発における「エビデンス」
システム開発におけるエビデンスとは、開発しているシステムが問題なく動いているという証拠を指します。
単体テスト時に、「エビデンスとっといて」という指示の多くがこの「単体テスト結果を取れ」という意味合いで使われます。単体テストで計画書通りにシステムが稼働しているかどうか、稼働している状態の画面をスクリーンショットで撮り、それをエビデンスとして提出します。
単体テストにおける「テスト結果」
顧客は、単体テストのテスト結果「エビデンス」を見て、安心します。とりあえず今のところ、こちらの要望通りに開発が進んでいると思うからです。
さらに、単体テスト後開発が進んだ段階で、システムに障害が見つかった段階で「単体テスト時のシステムエラー」を探すのにも役立ちます。システム開発におけるエビデンスは、プロジェクトの品質向上のために一役買っているのです。
エビデンスがないと顧客は安心しない
「今システム開発は順調です」
「テストはうまくいきました」
こんな言葉だけ聞いても、顧客は安心しません。顧客は目に見える「成果」を求めます。エビデンスを見てから、追加の予算を出す場合があるほどです。
エビデンスは必要なのか?
しかし開発者の中には、エビデンスの必要性を疑問視する声が上がっているほどです。
エビデンスを取る行為は、日本企業ではありふれたことで、多くの技術者が疑問無くやってきました。しかしこれからも継続して、エビデンスを取り続けるのか?ここで一度考えていくべきなのかもしれません。
エビデンス作成に時間を割きすぎる弊害
エビデンスを取る事自体は簡単です。多くの場合、テスト結果をスクリーンショットで取って、Excelに貼り付けるだけ。
さらに、アプリケーション開発の場合は、テスト環境など細かい注釈を入れることもしばしば。どんな操作をしたか、その操作結果。結果においてどんな変化があったか。それらを証拠(エビデンス)として残していくのです。
そのエビデンス資料は百ページほどのドキュメントファイルになることもあり、エビデンス資料制作に多くの時間がかかってしまうことがあります。
さらに、エビデンスのために残したファイル、画像その他は、後からいくらでも改ざんできるとの指摘もあります。
エビデンスをExcelで作ることへの問題を指摘する声も
エビデンスを残す作業自体には多くの時間は取られません。しかしそれに添えるエビデンス資料作成には多くの時間を取られてしまう場合があります。大規模なシステムやアプリ開発の場合はその傾向が顕著です。
その時間は、開発作業がまったく進みません。システムの品質はその時間いっさい向上しないのです。その時間を、もっと開発作業に割くべきだという声が上がったとしても、現場の人間からすれば「当然」と感じますよね。
どうしてエビデンスを求められるのか?
ここでエビデンスの持つ意味をもう一度思い返してみましょう。
システム開発は、受注先と発注元の信用で成り立っています。ここで信用が不十分だったなら、ビジネスは成立しません。
そして顧客の信頼を集めるため以外にも、自社内で「ここまでやった」という証拠になるのです。相手にも自分たちにも効果を持つ「証拠」。システム開発におけるエビデンスにはそんな意味合いを含んでいるのです。
これは何もIT以外の分野で使われる「エビデンス」も同じこと。相手と自分に対する裏とりのために、幅広いビジネスシーンでこのエビデンスが重要視されるのです。
まとめ
IT分野におけるエビデンスは、主にプログラムやアプリのテスト結果を指します。
順調にテストで計画通り稼働している結果をエビデンス(証拠)として残し、提出することで顧客の信頼を勝ち取るのです。
しかしIT技術者の中には今のエビデンスの形を疑問視する人もちらほら。今後IT開発環境の変化、技術の向上などに伴って、IT分野のエビデンスの形は変わっていくかもしれません。