SIerからWeb業界への転職で失敗する人に共通する3つの特徴

悩む人

現在SIerに在籍しているが、自身の開発技術向上を狙って、SIerからWeb業界への転職を考えている方は多いはず。Web業界の成長に伴って、そうしたWebへの転向を希望している方の割合は年々増えています。

しかし、そんなSIerからWebへの転職を考える方の中には、「転職に失敗してしまう人」が一定数いるもの。今回は、そんなSIerからWebへの転職を考えている方に向けて、「転職が成功する人」「転職に失敗してしまう人」の特徴をまとめておきます。

SIerからWebへの人材流出は増えているもののWeb業界は狭き門

SIerからWebへの転職成功者と失敗する人の特徴を詳しく見る前に、まずはSI業界とWeb業界の採用動向から詳しく見ていきましょう。

最近は、特に飲食業界を中心に人手不足が嘆かれて久しいです。そんな人手不足の波は、もちろんIT業界も他人事ではありません。IT業界は成長著しい成長産業ゆえ、常に人手が足りないのです。以前読んだ日経新聞の記事でも、「IT分野の派遣が「月収100万円」でも集まらない」と報じていました。もはやIT分野での人手不足は深刻な事態となっているのです。

Web人材
IT技術者の動向 ~IT人材白書から – 経済産業省
職種別の細かい求人動向を見ても、「ウェブビジネスコンサルティング」や、「ウェブサイト構築」などの、Web分野での人手不足が他業界より際立っています。

SIerからWebへの動向という面で考えてみると、ユーザー企業の中途採用51.5%がSIerから、またWebビジネス含む企業の中途採用22.8%がSIerからの転職です。逆に、SIerの中途採用の7.3%がユーザー企業から、2.2%がWeb企業からの転向となっており、SIerの人材流出は止まらないといった感じです。

特に向上心の強い人、または開発志向の強い人を中心として、SIerからWebへの転職が増えているといったところでしょうか。

しかしWeb系企業での中途採用の22.8%がSIerからの転職ということで、決して誰でも転職できる広き門とは言い難いです。そしてそんな狭き門でも転職成功する人と、転職に失敗してしまう人、その両者の間には明確な違いがあります。

これから転職を考えている方は、これから私が言う「タイプ」で、どちらに当てはまっているかもう一度考えてみてください。

SIerからWebへの転職に失敗する人が持つ3つの特徴

①SIerというぬるま湯につかっている

温泉に入る猿

SIerの仕事は、プロジェクトを細かくタスクで分解し、誰でもできるような開発作業に落とし込んでいくというもの。その仕事には、属人性を排除し、多重下請け構造で巨大システムを作ることができように仕組みが作られたものです。

なので、仕組み自体は高度とはいえ、プログラマーなど開発者レイヤーに落とし込めば、基本的に誰でも働けるように設計されています。そのため、総じて技術面ではトラディショナルな技術しか使われておらず、自動化が遅れているなどの場合が多く、技術スキル向上を見込むのが難しい環境とも言えます。

特にこれは、運用保守のチームに関わっていると顕著です。デスマで忙しい、厳しい、大変とはいえ、それは肉体的な苦労で、Webとは違い技術向上に伴う苦労があるわけではありません。

対してWeb業界は変化が早く、激しく、良くも悪くも属人性が強い業界。よく言われるのが「個人技が求められる世界」のため、否応なしに成長できる世界です。これが自社サービスともなると、自社内から精鋭を揃える傾向が強く、コードが書けない人はあまり必要とされません。

つまり、プログラミング技術が軽視されるSIerから、自社Webサービスへの転向はかなりハードルが高いということです。

開発面で、こうした技術向上への意欲が求められない「ぬるま湯」に浸かっていると、これからWeb業界へ転職しても、新しい技術への好奇心や情報感度が衰えてしまいます。そうするとWeb業界からますます遠のいていき、外界からの刺激がどんどん少なくなっていくというスパイラルに陥ってしまいがちです。

②「興味がある」で終わってしまっている

SIからWebへの転向におけるマインドセットの面で言えば、「入ってから学んでいく」や「先輩方に教えてもらいながら」という考えでは、そもそも門前払いを食らってしまいます。

興味があるならまず触って、少なくともチュートリアルくらいはやっておく、可能なら簡単なアプリ制作くらいは終わらせておくくらいの意気込みが必要です。

転職の面接で、「今どんな技術に興味がありますか?」という質問をよくされます。そこで「Railsに興味があります」「Dockerに興味があります」「CIツールに興味があります」なんて言うだけで、ニュースを眺めて「興味がある」で終わっており、「実際にはまだ触ったことがない」なら、Webの自社サービス採用基準で考えればかなり低評価で終わってしまいます。面接官はこんなことを言う人に向かって、「興味あるなら触ってみろよ」と思っていることでしょう。

SIerのプログラマやSEのレイヤーにいると、プロジェクトのアーキテクチャはすべて決まった状態で動くことが多いです。そのため、技術的に興味があっても、仕事で関わることが少ないです。自分で試してみる…というのは難しいかもしれませんね。

しかしWebエンジニアにはそういったマインドセットは歓迎されません。より良いサービス環境を整えるために、少しでも良さそうなものはなんでも試してみる、使えるかどうか探っておく、といった好奇心が求められます。

SIerと違って、「誰かがなんとかしてくれる」ということは無いのです。

③30過ぎまでSIerにいる

悩むおじさん

一つ目の話題と少し被ってきますが、SIerからWebへ転向を考えているのに、あれこれ言い訳をしていつまでもSIに在籍している人は、Webへの転職でミスってしまうイメージです。

「プロジェクトが忙しくて」「給与に満足している」「失敗したら嫌だ」など、自分に様々な理由付けをして、SIerにだらだらといつまでも在籍しているままでは、キャリアが中途半端なものになってしまいます。

SIの仕事に生きがいを感じて、とても強いやりがいを感じているなら問題無いですが、Webへの転向を考えているのに動き出しが遅いと、その時間を無駄にしていると思われてしまいます。

たまに35歳という節目でWebへの転向を考える方もいますが、35歳でWeb業界への転職を成功させる人はかなり稀です。長らくSIerに在籍していると、どうしても考え方が「受注脳」になってしまい、自社サービスエンジニアへの転向は、マインドセットの切り替えといおう面で考えてかなり難しいでしょう。

転職の準備をしない人が転向に失敗する

いかがだったでしょうか。

転職に失敗する人の特徴、わかっていただけましたか?

上では3つの特徴を並べましたが、SIからWebへの転向に失敗する人の特徴はただ一つ。

「転職に向けて何も準備してない」

事に他なりません。

SIerというぬるま湯で満足して、何も行動を起こさない人が、転職に失敗してしまう人の特徴です。

転職を成功させる人の特徴

しかし、調査の通りSIerからWebへの転向を成功させる人も一定数存在します。そういった人たちにも、共通していくつかの特徴があります。SIからWebへの転向を成功させる人の特徴も合わせて、考えていきましょう。

とはいえ、成功する人の特徴は上で述べた転向に成功する人の裏返しです。成功する人の特徴を持ち合わせている人は、転職活動の書類選考で落ちてしまっても、その後の選考でなんとかなっています。

Web業界はスキル優先なので、スキルレベルさえ合えば書類選考免除で面接までいけるシステムの企業も多いです。転職に向けて何もしないと苦労しますが、その前にやることやってる人ならば、その後の転職活動では苦労しない印象です。

それでは具体的に、転職活動に成功しやすい人の特徴を見ていきましょう。

Web業界の人と交流している。情報収集も欠かさない

セミナー

Webへの転向がうまくいっている人は、SIer在籍時代からセミナーや勉強会などで、Web業界の人との交流を惜しみません。それによりWeb開発技術だけでなく、マインドセットの面でも他の人との大きな差をつけています。そこで受けた刺激を糧に勉強して、技術面で機が熟したタイミングでWebへの転向を果たす人が多いです。

SIerの中にずっといると業界のやり方に慣れてしまい、技術的な刺激も受けず、キャリアの問題点についても気づかない人が多いです。
ぼんやりとでも、Web業界への転向を考えているのであれば、そこで働く人のマインドセットを知るためにも、積極的にWeb業界の人との交流が大切です。

他業種の人との交流を行うことで、勉強できるだけでなく自分のキャリアについて考えることになり、開発のぬるま湯から脱するチャンスを得ることができるようになります。

新しい技術をインプットして、アウトプットも怠らない

Webへの転向がうまくいく人は、SIerにいても技術力が向上しないという事実に問題意識を持っています。また、もっとエンドユーザーの顔が見える仕事がしたいという意識を持っていたり、SIerのビジネスモデル自体の疑問を持っている人も多いです。つまり、現状に満足しない
「ぬるま湯」につかっていることへの危機感を覚えているという特徴があります。

こうした危機感があれば、将来のために新しい技術を学んだり、または簡単に新しい技術を試してみたり、ブログにその技術について書いてみたり、実際に開発してみたりと、「アウトプット」を欠かしません。

それらの行動一つ一つが血肉となり、Web業界転向後も変わらず技術向上を狙うことができるはずです。こういった向上心あふれる人が、Webへの転向がうまくいきやすい人です。

30手前で動き出すフットワークの軽さ

SIer在籍している人に話を聞くと大体の人が、周りのエンジニアは技術レベルが低く、業務時間外はまったく勉強しない、新しい技術に興味のない人ばかりと話しています。

つまり多くの人が、「現在ぬるま湯に浸かっている」ことを理解しているということ。ここから、いかに次の行動までに時間をかけず早く動き出せるかか、Web転向がうまくいくかどうかの境目です。

動き出すまでに時間がかかればかかるほど、考え方が固まり、新しい技術への好奇心や覚えが衰えてきてしまいます。企業側も教育コスト、将来性を考えて、30歳をこえた人の転向者にはすこし足が遠のきます。日本では若い人の方が年上に教えにくいという文化もあるからですね。

最近は人材不足もあり、転向へのハードルが低くなったとはいえ、転向を考えている方は少しでも早く動き出す方が有利なのは間違いありません。

今後SIerにはビジネスシフトが求められる

SIerを取り巻く状況は刻一刻と変わりつつあります。少し前ですが、IT人材白書2014ではこういった記述があります。

これは IT ユーザーにとって情報システムは “IT 企業に発注して開発するもの ” から “ サービスを選択して利用するもの ” に変化していることの現れと考えられる

つまり、ユーザー企業が情報システムをただ使うだけでなく、自社の強みとして利用する方向へのシフトを行うということ。SIerも、従来のオーダーメイド型で行うシステム開発から、SaaS等のソリューションビジネスへのビジネスシフトが求められていることに他なりません。

ビジネスシフトが進むと、事業のコアとなるシステムは、コアコンピタンスが流出しないよう内製化が中心となるはず。バックオフィス業務など事業負荷価値の低い領域はSIerに外注、SaaS等の利用に切り替わっていくはずです。

そのため、SIerは官公庁や銀行保険など一部の巨大システム以外では、シュリンクしていかざるを得ません。

そして、SIerは多重下請け構造を成り立たせるために、誰でも仕事ができるようにプロジェクトを分割しています。そのため、技術的な成長を行う機会を奪われてしまうということです。そして、誰でもできるからこそ、新興国へ安い労働力で仕事が奪われててしまうでしょう。

今後求められるエンジニアは、利用者に価値あるサービスやソリューションをスピード感持って作ることができるエンジニアです。ただ開発ができるエンジニアでは、新興国に仕事を奪われてしまうでしょう。

「どう作るかだけでなく、何を作るか? もちろん、どう作るかを理解した上で」ということですね。

まとめ

レベルの高いエンジニアほど、社員一人一人影響力の強い少人数の企業へいく事が多いです。そうすることで、自分自身へのフィードバックループが協力に働き、さらに成長することができるからです。

ですがSIerに在籍し、「ぬるま湯」に浸かっていおるエンジニアは、若い時代の成長機会を奪われ、あとになって危機感を覚えてWebへの転向を果たしても非常に苦労してしまうか、転向できずずっとSIにいる…なんてことになってしまいがちです。

そういった環境から抜け出すためにも、Web業界の勉強会に出てみる、まずはWebの受託で幅広く技術を吸収する、ユーザー企業で事象者視点を経験するなど、段階的なステップアップを行うなどの工夫が求められるでしょう。

今現在SIerに在籍しており、年齢が30歳手前だという方は、自分はPM方面で行くのか、技術方面で活きるのか、という決断をする意識を持っておくことをおすすめします。

そして、もし技術方面に進むとすれば、タイムリミットはすぐそこまで来ているということを考えた方が良いでしょう。